2014年10月20日月曜日

歯科麻酔学会

 そろそろ鍋ものもいいなと思う今日このごろ、ということで今日の夕食はおでんにしました。 しみじみと秋を感じます。日本酒を買っとかなきゃ。

さて、先週の11日と12日に新潟での歯科麻酔学会に行ってきました。すごい台風が来てちょっと心配でしたが、結果的に無事帰ってこれました。
学会でみずから発表することがなくなって久しいのですが、歯科麻酔学のトレンドくらいは知っておきたいこと、年2回程度の学会出席で日頃の不勉強の免罪符にしたいという自らへの言いわけ、あとはちょっとした旅行が味わえるという、まぁそんな理由でこの学会にもほぼ毎年参加しています。
今回、まとまったプログラムとしては、

福井大学の重見研司教授による教育講演、「歯科麻酔に必要な循環制御入門」
神奈川歯科大学の有坂博史准教授による宿題報告、「睡眠時無呼吸症候群の周術期管理」
シンポジウムとして、「歯科麻酔を検証する歯科麻酔に望むもの

を聞きました。他に、心身障害者の全身麻酔、鎮静法や全身管理に関するポスターセッションや口演をいくつか。

 重見先生の講演は、対象を多分卒後23年目の研修医と想定しておられたと思います。循環制御は内容が多岐にわたり、かかわる薬もモニターなどの器材も多い分野です。むかし研究をしていた時、呼吸循環制御が少しだけ関係する実験内容でしたので、あれこれ論文をあさったものです。また25年ほど前に歯科麻酔認定医試験の受験勉強をしていた時に、理解するのに苦労したことも思い出したりしました。
講演ではこの複雑怪奇な現象をうまく整理されており、なおかつ新しい知見も盛り込まれており、大変勉強になりました。
 最近では循環や呼吸の問題に現場で直面することもないのですが、過去にあれだけ勉強したのに大半が忘却の彼方に消えてしまっていたことに呆然となり、早速重見先生の論文をさがし出して復習しようととりあえずウェブで検索すると、インターネットとは便利なもので、ほぼ今回の講演内容を網羅したファイルを手に入れることができました。一昔前なら考えられないことです。かなり主要な論文でも手に入れるためには大学図書館を利用するしかありませんでしたから。

 有坂先生の、睡眠時無呼吸症候群の話は私たちの日常臨床にも少し関係のある話です。それよりも私の研修医局の準教授ですので、陰ながら応援する気持ちで聞きました(いや、実際には会場にすわっていただけですが)。やっぱりCPAPが著効すること、術前の診断では顔の形態の観察が意外と役に立つこと、その他いろいろな興味深い知見を知ることができました。

 さて、会場となった大学には、「医の博物館」という小さな、しかし大変興味深い展示のある博物館があり、昔の歯科診療の器材もたくさん展示されていました。歯を削る器械、歯科用エンジンと言いますが、昔は電動式などなく、はずみ車を足踏みで廻して動力を得ていたことは、大学の1年生で教わります。その足踏み式エンジンをはじめて廻すことができました。ちょっと感動的な体験でした。


 冗長になって申し訳ありませんが、次回も学会の話を続けます。

2014年10月4日土曜日

咬み合わせと歯にかかる力 2


 台風のせいで今年は夏がなくて、梅雨から秋に移行したような天気です。皆様いかがお過ごしでしょうか。すっかりさぼり癖がついて、2か月ぶりの更新となります。

さて、前回の最後に、過大な咬合力が引き起こす歯の障害を列挙しました。いい図がありましたから、引用します。北九州の下川公一、故 筒井昌秀、奥様の筒井照子 諸先生が提唱されている Dental Compression syndrome の概念図です。

この図の中で、歯周組織つまり歯を支えるセメント質、歯根膜、骨、粘膜などにおこる障害は、

①歯槽骨の吸収、骨の増生
②辺縁歯肉の短縮
③歯根膜の肥厚および消失
④骨破壊
⑤中隔部への炎症の波及(根分岐部病変)
⑥緻密性骨炎
⑦骨梁の乱れ
などです。根尖病変も入るでしょうか。

 そしてこの歯に歯周炎があれば、一気に症状が増悪することがあります。発見が早ければ一般的な歯周炎の治療と咬み合わせの調整で、比較的短期間に改善しますが、放置しておくと歯の動揺が次第に大きくなり、抜歯のやむなきに至ることも少なくありません。全体的にはそれほど歯周炎が進行しているわけではないのに、特定の一本か二本だけが悪い場合は、咬み合わせの悪影響が強く疑われます。


 以前にお話ししたように、問題は「早期接触」です。これは、生来の歯並び、咬み合わせ状態が良くても、経年的な変化、すなわち歯の磨耗、歯の抜けたあとを放置したためにおこる歯列の乱れ、金属修復物などと歯の磨耗の差などで起こりえます。したがって、かみ合わせの様子も定期的にチェックする必要があると考えています。