2013年11月20日水曜日

歯科用アマルガムと水俣条約

レジン修復のことを考えていたら、歯科医師会から水俣条約に関する資料が送られてきました。数日前にニュースでやっていましたので、ご覧になった方も多いと思います。水俣条約の主な目的は、有機水銀中毒を根絶するために水銀の製造から廃棄に至るまで、厳しく規制しようというもののようです。
歯科においては、かつて虫歯の充填に銀錫アマルガム(略してアマルガムと言います)が盛んに使われていました。これは銀と錫を主成分とする金属粉を水銀で練ったものです。20分程で硬化し(たと思います)、硬化後は口の中でもきわめて安定していますので、かつては盛んに使われました。特にアメリカでは、関係学会のボスがアマルガム修復の専門家だったためか、1990年代まではレジン修復よりもはるかに多く使われていたようです。
日本ではと言えば、例えば私は1985年に歯科医師になりましたが、恐らく1回位しかアマルガムを使用したことがありません。学生実習では全く使用しませんでした。現代のレジン修復システムが主に日本で開発されたので、早くから普及したようです。今ではご年配の方の口の中にたまに見かける程度です。
仮に口の中にアマルガムがあっても、歯に詰められ硬化したアマルガムはものすごく安定なので、水銀が溶出することはまずありません。アマルガムが原因で、メチル水銀をはじめとする有機水銀が生成されることはまずありません。
硬化アマルガムを削って除去する場合には、削り屑が下水に入り、有機水銀を生成する可能性も少しあるので、切削片はふつうフィルターで除去します。それもごく微量で、かつそのような機会も少なくなってしまいましたから、今では歯科において水銀汚染が大きな問題になることはありません。
ただ、アマルガムが原因で、口の中に扁平苔癬というアレルギー疾患がおきた症例を経験しています。私の患者さんの場合は、水銀ではなくてわずかに含まれる亜鉛が原因でした。亜鉛は歯科で使用する多くの金属に含まれます。この患者さんの場合は、アマルガムをレジンで詰め換え、金属冠を2本ほどチタン製に換えたところ、次第に症状が消失しました。


歯科用アマルガムに関するQAが、日本歯科保存学会から発表されていますので、関心のある方はご覧になってみて下さい。私から見たら、まぁ妥当な内容だと思います。

2013年11月12日火曜日

レジン修復 2


すっかり秋めいてきました。ここ数日は朝夕めっきり冷え込み、そろそろ鍋の季節だなと、秘かに舌なめずりしています。
レジン修復の話を続けます。
前回お話ししたようにレジン修復の特徴は、小さく削ってしかも歯と同じ色調の材料で修復できることでした。たとえば左側の写真のような小さな虫歯は、そこだけを削って右側の写真のように治療することができます。治療のあとがわかりやすいように、歯とは異なる色調のレジンを詰めています。おわかりでしょうか?


 


さらに最近では、いわゆる「審美修復」にもレジンを用います。たとえば下のように、前歯の間に小さなすき間がある場合。従来ならば矯正を行うか、セラモメタルクラウンとか、レジン前装クラウンとかいった冠をかぶせて治すのが普通でした。



 でも歯科矯正は高額で、強制装置を長期間装着しなければなりません。冠をかぶせるためには歯を大幅に削らなくてはならず、虫歯でない場合はあまりいい方法とはいえません。
そこで、あくまですき間が小さな場合ですが、レジンで修復するのが最近の主流になってきました。左の写真は1本目の修復を終えたところ、右は2本目の修復も終えたところです。



 



虫歯の治療ではないので健康保険は使えませんが、冠をかぶせたり矯正するよりはずっと安いと思います。一番いいのは歯をほとんど削らなくてすむことです。いかがでしょうか。

2013年11月4日月曜日

レジン修復 1


ブログをはじめて2か月ほどになります。週1回の更新を目指していますが、なかなか思うようにいきません。ま、読者はあまりいないと思われるので(笑)かまわないのかもしれませんが、もう少し頑張ります。さて、レジン修復です。正確には「光重合コンポジットレジン修復」という長ったらしい名称です。合成樹脂のことをレジンと言います。歯の修復に用いるレジンはBis_GMA系の複合樹脂が多いようです。私が使用しているのはこれです。20年ほど前までは、歯を削って詰め物をする場合に、金属を使用することもありましたが、現在は審美性、歯質の保存という観点からほとんどの場合、レジン修復を行います。1、2枚目の写真は、インレー修復された抜去歯です。

 


3,4枚目の写真はインレーを外したところ。



5,6枚目はレジンで修復したところです


ピンボケで見苦しいですね。
 この歯は上顎の小臼歯ですが、臼歯のような大きな力のかかる部分でも、虫歯の穴が小さければ、このようにレジンを充填するだけで済みます。また、インレーで修復するためには、1日目)金属部分の出し入れが可能なように、虫歯部分を含めて穴を少し大きく削り、型    や咬み合せをとる。2日目)金属を歯科用セメントでくっつける。と、2日がかりでしたが、レジン修復の場合多くは1回ですみます。このことも利点の一つです。もっとも治療時間はやや長くなりますが。また写真でおわかりのように、審美性、つまり見た目という意味では金属修復にはるかに勝ります。色調の選択も可能で、前歯であっても虫歯の治療の跡はまずわかりません。
さらに、多くの場合は健康保険が効きます!

次回以降も抜去歯をモデルに、レジン修復の話を続けます。