レジン修復のことを考えていたら、歯科医師会から水俣条約に関する資料が送られてきました。数日前にニュースでやっていましたので、ご覧になった方も多いと思います。水俣条約の主な目的は、有機水銀中毒を根絶するために水銀の製造から廃棄に至るまで、厳しく規制しようというもののようです。
歯科においては、かつて虫歯の充填に銀錫アマルガム(略してアマルガムと言います)が盛んに使われていました。これは銀と錫を主成分とする金属粉を水銀で練ったものです。20分程で硬化し(たと思います)、硬化後は口の中でもきわめて安定していますので、かつては盛んに使われました。特にアメリカでは、関係学会のボスがアマルガム修復の専門家だったためか、1990年代まではレジン修復よりもはるかに多く使われていたようです。
日本ではと言えば、例えば私は1985年に歯科医師になりましたが、恐らく1回位しかアマルガムを使用したことがありません。学生実習では全く使用しませんでした。現代のレジン修復システムが主に日本で開発されたので、早くから普及したようです。今ではご年配の方の口の中にたまに見かける程度です。
仮に口の中にアマルガムがあっても、歯に詰められ硬化したアマルガムはものすごく安定なので、水銀が溶出することはまずありません。アマルガムが原因で、メチル水銀をはじめとする有機水銀が生成されることはまずありません。
硬化アマルガムを削って除去する場合には、削り屑が下水に入り、有機水銀を生成する可能性も少しあるので、切削片はふつうフィルターで除去します。それもごく微量で、かつそのような機会も少なくなってしまいましたから、今では歯科において水銀汚染が大きな問題になることはありません。
ただ、アマルガムが原因で、口の中に扁平苔癬というアレルギー疾患がおきた症例を経験しています。私の患者さんの場合は、水銀ではなくてわずかに含まれる亜鉛が原因でした。亜鉛は歯科で使用する多くの金属に含まれます。この患者さんの場合は、アマルガムをレジンで詰め換え、金属冠を2本ほどチタン製に換えたところ、次第に症状が消失しました。










