2014年11月10日月曜日

咬み合わせの治療 1

 
 前回お話ししましたがカロナール500㎎の錠剤が発売予定だそうです。パンフレットをもらったので貼っておきます。で、何しろ大きい!長径17㎜余りもある長楕円形です。これを2錠のむのは、きゃしゃなお年寄りなどにはちょっと苦痛じゃないでしょうか。歯科麻酔学会での講演に影響されて、鎮痛剤は基本的にカロナール500㎎にしようかと考えていたのですが、躊躇してしまう大きさですね。サンプルをもらってから考えようと思います。

 さて、咬み合わせの話に、久々にもどります。
 まずは軽くおさらいです。
・咬み合わせで私たちが注目するのは、上下の歯がしっかりと咬み合った状態,
「中心咬合位」だけでなく、下顎が前後左右に動いた位置での上下の歯の接触状態です。
・それぞれの下顎位で有害な接触(早期接触)があると、歯や歯周組織にダメージをきた   すことがあります。
・それだけでなく顎関節症がおこるかもしれません(エビデンスが不足していますが)。
・特に強大な咬合力の場合は、このような障害がおこりやすいと思われます。また強大な   咬合力は、多くは睡眠中の歯ぎしりによって起こります。

そこで上下の歯の接触状態を、歯を削ったり、レジンを盛って調整したりもします。これを「咬合調整」と言います。
多数歯を修復する場合以外では、咬合調整は痛みや動揺などの症状が出ているときのみ、最小限度しか行いません。理由は、私は矯正ができないので根本的な歯列の再配列ができないことがひとつ。また年輩の方で咬合に異常がある場合、歯の摩耗が原因であることが多く、たとえ咬合調整を大々的に行っても、いずれ摩耗して異常な咬合に戻ってしまうことが予想されるからです。
それでは根本的な治療になりませんね。
根本的には、咬み合わせを改善して、歯の移動や摩耗を防止するために強大な咬合力を緩和する必要があります。

 これがむつかしい。歯ぎしりをどうやってやめさせるか、という問題です。付け加えるなら、すごい力仕事をしている方も問題です。スポーツ選手などです。昔から、自己暗示法とか、催眠療法とか、心理学的手法を中心にいろいろと試みられてきましたが、いい結果を得ることができなかったようです。
 

 最近、有害な咬合力をコントロールして、主に顎関節症を治療するこころみが公開されました。本も出ましたが、長くなりそうなのでその話は次回にします。

2014年11月4日火曜日

アセトアミノフェン

 


 早いもので、今年も2カ月を残すのみとなりました。ここ数日はそこそこ暖かく、秋の気配も薄感じがします。
 先週はテレビで何故か歯科が取り上げられることが多くちょっと驚きでした。
NHKの「サキどり↑」では1026日放送
27日は「プロフェッショナル 仕事の流儀」
熊谷先生の予防歯科に関するお考えは、現在ゴールドスタンダードと言っていいと思います。
 また27日、TBSの「釣り刑事5では、IZAMさんが歯科医師役として登場しています。
ちらっと見ただけで詳細は知りません。犯人だったのでしょうか?

 さて、歯科麻酔学会の話に戻ります。獨協医科大学 麻酔学講座の山口重樹教授による、
「鎮痛薬としてのアセトアミノフェンの役割」
という講演を聞きました。「私は留学中、歯が痛いときにアセトアミノフェンしかのまなかった!」らしいです。アセトアミノフェンへの偏愛がうかがうことができて、ある意味ほほえましい講演でした。

 鎮痛薬は、どの診療科でも「非ステロイド鎮痛消炎薬」、NSAIDsが最もよく使われています。ロキソニンなどですね。NSAIDsも歴史が古いので副作用もよく理解されているのですが、高齢者、脳血管障害患者、循環器疾患患者など、リスクのある場合には問題となります。

 そこで100年以上も前に開発された痛み止めである、アセトアミノフェンが見直されています。これはNSAIDsと作用機序が違うため、上記のような患者さんにも安全に使ってもらえることが多いようです。今回の講演内容からも、高齢者、胃潰瘍の既往、降圧剤の服用、小児、妊産婦の場合には第1選択薬とすること、無効であっても増量で対応し、NSAIDsへの変更は慎重に行うことが推奨されるとのことでした。
 またアスピリン喘息など、いわゆるNSAIDs過敏症の場合、添付文書では未だに投与禁忌となっていますが、作用機序の違いから本当は問題がないようですし、実際にもこのような患者さんに多く処方されているようです。

 昨年、1日あたりの最大投与量が見なおされ、解熱目的では1,500mg、鎮痛目的では4,000mgとなりました。従来の34倍です。個人的には使いやすくなったなと思っています。
 錠剤はカロナールがあり、投与量の変更にともない500mgの錠剤が発売予定です。さらに、注射薬も発売予定のようです。

 たまたま先週いらした患者さんです。80代男性で、脳卒中後遺症、膝関節症、風邪で、それぞれ別個の診療所に通っていらっしゃるものですから、頭痛にロキソニン、膝痛にロキソニン、のどの鎮痛消炎にロキソニンと、重複処方されていました。私のところでは抜歯が必要だったのですが、抜歯後の鎮痛にも普通はロキソニンを出します。そうするとこの患者さんは、1日に12錠ほども服用するかもしれません。
 のみすぎですね。副作用の一つも出現してもおかしくありません。
 さすがに当日の抜歯は見送りました。

 このように患者さんの高齢化に伴い、いろんな基礎疾患がみられることはよくあります。また場合によっては服用薬剤を確認できないこともあります。
 
 鎮痛作用の弱さとか、作用発現まで少し時間がかかるとかいった理由で私はこの薬を処方しなくなりましたが、高齢化などによる診療環境の変化から、考えなおす時期かもしれません。