2014年6月1日日曜日

咬みあわせ 1

 
さて、前回の書き込みからおよそ半年が過ぎました(笑)。そろそろ、もっとも気が重いテーマについて書こうと思います。 「咬み合わせ」について。咬み合わせは、言ってみれば下顎の単なる関節運動なのですが、昔から多くの学説が乱立し、しかもなかなかエビデンスのとれない分野です。しかも歯の治療の際、決して無視することのできない、厄介な事だったりします。 とりあえず今回から、専門的になりすぎない範囲で咬み合せの基本的な事柄を説明したいと思います(正確には、「咬合」と「下顎運動」についての話です)。 ①中心咬合位 一般に、上下の歯列がしっかりと咬み合った位置を、下顎の「中心咬合位」と言います。きれいな歯並びの場合、すべての歯がしっかりと咬み合い、咬む力を分散します。ところが、たとえば1本の歯がわずかに歯列から飛び出している場合、その歯だけにかむ力のすべてがかかり、大きなダメージを受けます。カチンと噛んだとき、その歯は対向する歯と早めに接触するわけで、このような状態を「中心位早期接触」と言います。 中心位早期接触は、歯列不正、歯の長年使用による磨耗などによっても起こりえますが、私たち歯科医が最も注意しなければならないのが、金属冠やレジンで歯を修復する場合です。例えば奥歯に金属冠をかぶせるとき、経験された方もいらっしゃると思いますが、薄いカーボンペーパーやワックスを何度も噛んでもらって、慎重にあたりを削っていきます。 また金属冠が正確な咬み合せで装着されたとしても、歯列全体の長年の磨耗の結果、金属の部分だけが高くなってしまうということもあり得ます。このような場合は、定期的に金属冠の部分を削って調整するしかありません。 中心咬合位早期接触があったとき、もし歯周炎があれば炎症が急速に悪化しますし、骨植のしっかりした歯だと割れたりします。またダメージは歯だけでなく、顎の関節に及んだりします。これを「顎関節症」と言います。顎関節症の病因と治療法についてはあまりにエビデンスがなく、語りづらい分野ですが、咬合が引き起こす障害として、がんばって後に書こうと思っています。 次回も咬み合せの話を続けます。