2013年9月16日月曜日

インプラントのトラブル②


  インプラントの件は、3回位の投稿で片付けるつもりでしたが、長くなりそうです。
6回くらいかかるでしょうか。と言うことで、緊急投稿です。


 口腔外科専門医の知人にいくつかのことを教えてもらったことは前回お話ししました。それに解説を加えていきます。彼らが示唆したのは、以下の問題点です。
①骨の幅が狭い、または十分な高さがない場合。
 通常の方法ではインプラントを打ち込めない場合があります。このようなとき、骨再生誘導法(GBR)とか、スプリットクレスト、サイナスリフトなど、いわゆる補助手術が必要です。詳しくはリンク先を参照してください。外科的な侵襲が大きいこと、手術の回数が増えること、いわゆる歯科的な小手術と術式が大きく異なること、などから、私の感覚では専門医の守備範囲と考えています。私の場合は口腔外科専門医に手術を願いします。
②無歯顎(歯が一本もない状態)にインプラント
 無歯顎の場合は、長い間の歯周炎のあげく無歯顎になった場合や、長い間義歯を使用していた場合など、①の場合と同様に広範囲で骨の量が足りなくなったりします。このような場合はもちろん補助手術が必要です。必要ない場合もありますが。その後複数のインプラントを打ち込み、歯の部分は上下それぞれ連結して、一体のものを入れます。
この連結、というのが問題で、このように大変うまくいった場合はともかく、例えば5本の連結されたインプラントのうち1本がダメになっても、とりあえずは噛めたりします。もちろん痛かったり腫れたりもしますが。でも治療としては、歯の部分を全部はずして傷んだインプラントの部分を治療し、改めて歯の部分を装着する、といった大規模な修理が必要な場合もあります。最初と異なる歯科医院でこのような治療を行った場合、そこそこ高額な費用がかかるわけです。患者さんとしては治療をしたくないと思うのも、まぁ理解できます。
さらに、このような症例では、治療自体は大変うまくいったとしても、もとの条件が良くない訳ですから、その後の手入れが悪いと劇的に不具合が進行する場合があります。そのためにインプラントを行っている歯科医院では通常定期的なメインテナンスを行っています。メインテナンスの中断は、病院側の都合とか、患者さん側の都合とか様々でしょうが、とにかく大規模なインプラントの後に、メインテナンスの中断は大変まずいと考えています。いや、1本のインプラントでさえまずい場合が沢山あります。
③露出したり傾いたりしているインプラント
 手術がまずかった場合もあるでしょうが、高齢の患者さん、しかも訪問診療の場面で時々遭遇します。恐らくは20年から30年以上、問題なく使用されていたのでしょう。それが重い要介護状態になられ、歯みがきが不十分となり、歯科医院でのメインテナンスもできなくなったあげく、このような状態なったと推測できます。このような場合は訪問診療とか訪問口腔衛生指導などで対応しますが、認知症が重い場合など、それすらも不可能なことがあります。これは今後の、大きな課題になるだろうと思います。
④骨粗鬆症に注意。治療薬が長期間作用型になりつつある
 骨粗鬆症の治療で、おもに使用されている薬は顎骨壊死を起こすと言われています。これはインプラント手術の際まずいので、服用を開始する前に手術をするか、服用を一時中断してもらうしかありません。ところが最近は、効果が1年も持続する薬があります。ということは、服用をいったん中止してもらい、1年後にやっと手術できる勘定になります。さすがに骨粗鬆症にとっては良くないでしょうし、1年後にインプラント手術を、と言われても患者さんも戸惑うと思います。



なんとか解説ができました。少しくどかったでしょうか?次回は関連学会の対応を中心にお話しします。