2013年9月16日月曜日

インプラントのトラブル①


 さて、国民生活センター発表の、「歯科インプラント治療に係る問題-身体的トラブルを中心に-」から。ここで重要視されているのは、①相談件数のうち約7割が50万円以上の高価な契約だった。②痛みを中心とした身体症状が75.5%あり、そのうち41.6%は、症状が1年以上継続た。・・・等々です。高価な治療にもかかわらず、痛みが長引く等のトラブルが多いというわけです。この数字はちょっと驚きました。正直、私もインプラントでのトラブルを経験しています。それは上部構造(歯冠の部分)の破損と、上部構造とインプラントをつなぐネジの緩みなど数件で、痛みや腫れが数カ月に及ぶことは、現代のインプラントでは考えられないと思っていました。
 そこで口腔外科専門医の知人数名に、どういうわけで上記のようなトラブルになるのか、機会のある度に聞いてみました。彼らは大学病院や総合病院で診療しており、他の施設でのトラブルに対応することも少なくありません。すべて雑談としての質問でしたので、データがあるわけではないのですが、その分彼らの皮膚感覚に近いと思います。
 すなわち、
「十分な骨の量のある部分に、方向を間違わずに打ち込めばインプラントのトラブルはない。またこのような標準的な症例では、あえてCTなどの特殊な画像診断も必要ない。」
「問題は骨の幅が狭い、または十分な高さがない場合。特殊な手術が必要で、CTでの診断が必要なことも多い。このような症例で骨折や、副鼻腔の炎症が治らない等のトラブルが、一定数ある。」
「無歯顎(歯が一本もない状態)にインプラントをたくさん植立して歯列を回復した場合のトラブルは、その中でもやや目立つと思う。このような場合には、インプラントを取り去って総入れ歯を使ってもらうことを勧めることもあるが、信じられないことに、入れ歯よりも便利だから多少痛くても我慢する、という人もいる。」
80歳を過ぎた方に多いのが、あごの骨の吸収に伴って大きく露出したり傾いたりしているインプラント。長期間が経過したインプラントだね。このようなインプラントでは再利用もむつかしいし、高価なだけに撤去を拒否される方も多い。要介護者では撤去すること自体が難しい場合もあるし。」
「お前がやっているような基本的なインプラントではまず問題はないよ。でも最近では骨粗鬆症に注意だね。治療薬がどんどん長期間作用型になってるし。」
 基本的な症例だけやってれば初心者レベルの私でもまぁ問題ないというわけです。ちょっと安心しました。彼らの意見は、最近の学会の論調とほぼ一致していると感じましたし、実態はこんなもんだろうと思います。
 しかしこれは解説が必要ですね。次回以降に解説を試みます。